堺市立三国丘中学校

今日の一言 9月30日 いい演奏をするために(その1)耳を傾てくれている人に、もっと聞いてもらおう

公開日
2024/09/30
更新日
2024/10/03

校長雑感 一隅を照らす

合唱コンクールが目前に迫る、ある日のお昼休み。「どうやって指揮をするのか教えてほしい。」合唱指揮をする生徒がクラス担任の先生と校長室にやってきました。私は、質問しに来てくれたことが嬉しくてたまりません。いろいろと難しいことを話しました。「みんなと一緒にブレスを。」「大振りにならない。」「子音で音をとばす。」「一緒に歌う。」「フレーズを意識する。」などなど・・・。一所懸命に話を聞いてくれました。
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 多くの人の前で話したり、歌ったり、演奏したりするとき、誰しも緊張して、頭が真っ白になったり、手や足がぶるぶる震えたりします。
10年ほど前、人前で話すことが苦手な私は、「プレゼンの達人」という有名な人の講演会に行きました。「とにかくたくさん練習。」「練習の時やスピーチを考えているときに、自分が感動しなければ、聞いている人は感動しない。」「緊張しない人の話なんてつまらない。緊張を受け入れる。」「話す機会を与えられたこと、そういう立場になったことに感謝。」いろいろなアドバイス、名スピーチの映像も見せてくれました。言われるとおりにやってみると、なるほど、少しずつですが話が上手になってきたように思いました。
 ところが、それでも聞いてくれない人がいるということに気が付き始めました。そっぽを向いてつまらなそうにしている人。隣の人とおしゃべりをはじめる人。私は、こっちを向かせようと、一所懸命に話しますが、話を聞かせようとすればするほど、うまくいきません。最後には、聞いていた人まで下を向き始めます。「プレゼンの達人」の言ったとおりにしているのに・・・。思い悩んだ末にもう一度、彼の講演会に行きました。同じアドバイスが繰り返されます。少しイライラしてきたとき、突然、手を挙げて質問する人がいました。「あなたの言う通りしたけれど、聞いてくれない人がいる。聞かせようとすればするほど相手にしてくれない!どうしたらいいんですか?」我が意を得たり。達人の答えは・・「聞かせようとしてはいけません。聞く気のない人を振り向かせるのは至難の業です。聞いてくれる人に話します。ステージに上がるとき、客席を見渡しましょう。聞きたくてワクワクしている表情の人を見つけて、その人をもっともっと喜ばせることだけに集中します。聞いてくれる人に語りかけましょう。きっとうまくいきます!」
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 合唱も同じなのかも知れません。フェニーチェ堺という大きなステージに立つ生徒の皆さんにお伝えしたいこと。「何よりも大切なのは、聞きに来てくれた友だちやお母さんやお父さん・お家の人たちに向かって歌いましょう。なぜなら、彼らは、皆さんの歌を聞きたく聞きたくてしょうがない人たちだからです。きっとうまくいくでしょう。」
 10月9日の合唱コンクール。さあ、子どもたちは、どんな歌声を聞かせてくれるのでしょうか。