今日の一言 11月8日 働き方改革 2 そりゃー、生きるためさ!
- 公開日
- 2023/11/08
- 更新日
- 2023/11/08
校長雑感 一隅を照らす
Arbeiten wir um zu leben oder leben wir um zu arbeiten?
「生きるために働いているの?働くために生きているの?」
そりゃー、生きるためさ!
・・・
欧米の人たちの労働観の根底には、ユダヤ・キリスト教の聖典である旧約聖書にある、としばしば耳にします。
働くことを知らず暮らしていたアダムとイブが〈善悪を知る木の実=リンゴ〉を食べてしまったがために、男であるアダムには〈労働〉、女であるイブには〈産みの苦しみ〉という〈罰〉が与えられた。
罪のある者が働かなくてはいけない。働くことは罰なので、できる限り労働時間は少なく。出来れば働かなくて済むことが理想・・・。
・・・
さて、ドイツ(外国)でも、生活するために避けて通れない、面倒なことのひとつ。それは、役所や公共料金などの手続きをすることです。
滞在ビザ(査証)、労働ビザ、住民登録、確定申告。
水道、電気、自動車免許、保険などなど。
多くの場合、最初に応対する担当者が「私個人」の担当となります。
窓口に行くき、自分の名前を名乗ると「私の担当者」がお世話をしてくれます。
私のことであれば、対応履歴もよくわかっています。何度も顔を合わすので気心も知れてきます。
なかなかいいシステムじゃないか!!
と思われることでしょう。ところが、そうでもないのです。
ある日ある時、少々急ぎの用事で役所の窓口へ行く事がありました。
大したお願いではありません。簡単に迅速に処理してくれるに違いない!!
例の優しくしてくれる担当者の名前を言いました。
「ああ、彼女は今休暇中です。彼女の休暇明けに、また来てください!」
えっ!いつまで休暇ですか?
「3週間後です。」
いや、いや。それは困ります。とても簡単なお願いなので、あなたに代行していただくことはできませんか?
「しません!いや、できません。あなたのデータがどこにあるかわかりません。」
そんな対応では、市民は怒るでしょう。問題になりませんか?
「全く問題になりません! 休暇ですよ!休暇を取ることは権利です!」
・・・顔色も変えずにそう言い放ちます。
始めてこの体験をしたときは、驚きのあまり自分の語学力を疑いました。
でも、何度聞き直しても同じ答えが返ってきます。
この対応は、ドイツのスタンダードだったのです。
知人のドイツ人にこの話をすると、「それがドイツです」と問題なさそうでした。
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「労働は罰」という労働観のはなしに直結するかは、少々疑問のある例だったかもしれません。
他の例では、閉店時間の30分前から店じまいの支度を始める小売店。
夏の休暇の期間に一か月も自分の休暇のために休業するレストラン。
「生きるために働く(休暇のためにお金を稼いでいる)」という意識があることは間違いないようです。
では、学校の先生たちはどんな働き方をしているのでしょうか!?
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写真:ドイツの住民登録用紙