よく言われます，「過去は変えられない」と。確かに起こったことは，もう変えることができません。たとえば，「高校受験に失敗した」「財布を落とした」「失恋した」といったことが発生した場合，今からその事実を変えてしまうことはできません。永遠に消えない事実です。
　しかし，その事実のとらえ方を変えることができます。
　「高校受験に失敗した」という事実があって，「自分はなんてダメなんだ」「俺は落ちこぼれだ」「これで大学にいけない」などと思ってやる気をなくしている人がいたとします。
　また一方「高校受験に失敗した」という事実に対して「自分の勉強に対する姿勢がダメだったのだな」「第一希望の高校には行けなかったけれど，でもこれから行く高校で，最高の友だちに出会うかもしれない」「この試練を乗り越えろということだな。自分の勉強の仕方を変えていこう」「失敗を経験した分人の失敗にも共感できる」などととらえることもできます。
　起こったのは事実です。起こった事実があるだけで，その評価は自分が下しているのです。起こった事実のとらえ方は，いくつもあるのです。
　過去の失敗を引きずっている人は，過去の起こった事実のとらえ方を変えてみませんか。