令和6年5月
- 公開日
- 2024/11/06
- 更新日
- 2024/11/06
校長室より
桜の季節から新緑の季節に変わり,時には初夏の暑さをも感じる季節となりました。
春の連休の谷間,皆さまそれぞれに休日を充実して過ごされていることと思います。
今月は,「探求」と「協働」について考えてみました。私の拙(つたな)い経験をこの「校報しんひのお」紙面で申し上げるのは僭越(せんえつ)ですがお許しいただくとして,小学校5年生の時に受けた未だに忘れられない授業を毎年この時期になると思い出します。担任の先生が,朝のホームルームの時間に「明日から,ゴールデンウィークに入ります。皆さん,今日4時間目の国語の時間は,この〜ゴールデンウィーク〜という言葉について図書室で調べる授業をします。」と言い,クラス皆で図書室に行きました。今なら皆さんタブレットを出して検索(けんさく)して直ぐ調べられたでしょうが,50年前にはタブレットは勿論(もちろん)パソコンも携帯電話もなく,そもそも「検索」という言葉もなかっただろうと思われる時代の話です。当時は,図書室には多くの本が棚に一定の規則で並べられているだけで,現在のようにコンピューターを使ってシステマチックに調べるようにもなっていません。目と勘で友達と協力して関係すると思われる本を探しました。なかなか見つからず,ある児童のグループが,百科事典(ひゃっかじてん:五十音順に並べて解説された本)を見つけて探しましたが,無情にも「ゴールデンウィーク」という言葉は見つかりません。残念ながら国語辞典にもありません。30分後に先生が,「〜ゴールデンウィーク〜という言葉見つかりませんでしたね。それでは,これからNHKのニュースを皆で観ましょう」と言い,テレビを付けました。トップニュースは,明日からの休みの件でしたが,アナウンサーが発した言葉に皆びっくりしました。アナウンサーは「明日からの大型連休」と言っているのです。その後先生が解説して,〜ゴールデンウィーク〜という言葉は,ある映画会社が観客動員の為に宣伝で使い始めた言葉であることを教えてもらい,NHKは,放送法上民間企業の営業に関する広告の言葉を使っていけないということも合わせて知りました(現在の国語辞典にも未だに載っていないことも今回確認しました。)
私の小学校時代は「探求」という言葉を使った学びはありませんでしたが,ある意味では50年前受けたこの授業は「探求」の学びにふさわしいと今考えると思います。児童一人ひとりで調べたり,児童が「協働」して一つのことに取り組んだり,社会と繋(つな)がって物事を深めていく活動,私の経験でお伝えしたたった一つの言葉のルーツを知るような活動は,そのプロセスも含めて楽しい活動であり,苦労して能動的に知り考える活動の経験は,社会生活をする上で大いに役立ち,社会の中でいきる(生きる・活きる)活動と考えます。
今年度は全校挙げて,「探求」と「協働」を意識した学校づくりに励みたいと考えておりますので,前年同様保護者の皆様・地域の皆様のご支援とご協力をお願い申し上げます