令和7年7月 7月12日 歴史を引き継いで心をひとつに!
- 公開日
- 2025/07/01
- 更新日
- 2025/07/01
校長室より
給食が原因とされる「学童集団下痢症」が発生して29年目の夏を迎えました。7月12日。この日は堺市で教育を司る人達にとって,学校所在地の地域の人達にとって,そして堺市民にとって忘れてはならない大事な日です。
このことが原因で命を奪われた本校の児童のご冥福とこの悲しくつらい出来事を「二度と起こさない」という誓いを込めて,当時の方々が協力されてオオハマボウの木を校庭に植え「友情の木」と名付けました。オオハマボウの花言葉は,「友情」「感謝」そして「楽しい思い出」ということですが,私は,オオハマボウの木の前を通るたびに,ご冥福をお祈りすると共にその方とご遺族に対して,この悲しい出来事を忘れず未来永劫伝えていくことを誓っています。最近は,若手職員も増えているので,このいたましい事実を知らない教職員にどう伝えていき,自分事として考えもらうか着任当時から考えていました。毎年7月12日に市役所で開催されている「O157 堺市学童集団下痢症を忘れない日の追悼と誓いのつどい」に,従来は学校長しか参加していなかったつどいでしたが,本校教職員は,2年に1回は参加してもらうことにしました。つどい参加前には,市立図書館にある当時の有志が作られた「堺市―O157 堺市学童集団下痢症追悼文集」を借りてきて全職員で読んでいます。職員は,どうしても異動がありずっと本校にいるわけではありませんが,そこを逆手にとり,異動先の学校で「学童集団下痢症」のことを教職員に伝える役割を果たしてくれることと信じております。
もうひとつ気になったことが,オオハマボウの木が植えてある周辺が広い更地であることでした。普段子ども達も安全上その空間には行かないルールになっていて,「ポツンと1本」という感じが否めなく,オオハマボウが寂しいのではと思い,何か少しずつ賑わいを醸し出せないか苦慮していました。昨年秋以降,何度か本学校通信等を通じてお伝えしていますが,「オリーブの森」計画推進には,オオハマボウの木周辺整備の意味合いもあったのです。オリーブの花言葉は,「平和」「知恵」そして「安らぎ」ということですが,オオハマボウの花言葉と調和する感じが凄くしたのです。更にオオハマボウの葉は,大きな「ハート型」で,実はオリーブの葉にもほんの一部ですが少し長めの「ハート型」をした葉があります。数は少ないですが,「幸せのオリーブの葉」と呼ばれて,四葉のクローバー同様「幸運の葉」です。最近は,整備された「オリーブの森」には,自由に子ども達が行けるようになり,休み時間懸命に「幸運の葉」を探している子ども達の姿をよく見かけます。世界中の多くの文化や風習で,「ハート型」は,愛情や幸運を引き寄せるとされており,人々の感覚としても温かい祝福を感じる型です。
本校には2種類の木,そして命を奪われた本校の先輩が子ども達をいつも見守ってくれている環境が整いました。本校の子ども達・教職員・地域の方々が,「オリーブの森」を通じて「オオハマボウの木」の存在を知り,日常的にも「学童集団下痢症」のことを再確認し後世に伝えていくこととなり,将来に渡って2度とこのようなことを起こさない決意の場となることを信じてやみません。