2014年、日本へ本帰国する前の10年間、ミュンヘン日本人国際学校で働いていました。この学校の先生たちは夜中まで学校にいることがしばしばありました。
子どもたちが下校した後、授業準備=教材研究の時間が十分ありましたが、それでも足りず、18時過ぎになると先生たちは、学校の近くのレストランへ出かけていきます。
「今晩も遅くなるんですよね。まず食事しませんか?」と、私も時々誘われました。
食事に行くと、そこで教育談義。小一時間ほど盛り上がると学校に戻り、そこから数時間・・・
「そんなにやることがあるんですか?」と訊くと
教材研究にはきりがありません!
やればやるほど、まだまだと・・
いいものができると明日が来るのが楽しみでしょうがなくなります。
どこまでもやる気満々の先生たちでした。
2004年ごろの、昔の懐かしい話です。
2023年になっても、先生たちは、子どもたちと一緒にいることが大好きで、子どもたちが喜ぶ顔を見ることが大好きで、子どもたちを喜ばすことなら、何時間でもその準備に時間を使うことが出来る人たちです。労力を惜しみません。
・・・
プロ野球選手は試合で活躍するために、自主練習もしますが、明日の試合のために、球団がトレーニングプログラムを作り、業務時間内に取り組みます。強いチームは、選手が活躍できるためのトレーニングや準備ができる環境があることは間違いないでしょう。それを否定する人はいないのではないでしょうか?
では、学校はどうでしょうか。
明日の授業のために、子どもたちが下校した後の勤務時間内に授業準備=教材研究や先生たちのトレーニングプログラムを実施する“環境整備”ができているのでしょうか?
教育の世界に入って20年経ちました。
ミュンヘンの先生と同じように、今の先生たちも夜中まで働いていることがあります。しかし、その実態は、両者の間で大きく異なります。働きたくて残っている時代と働かなくてはいけないから残っている時代‥の違いです。
学校の労働環境は、先生たちの喜びを奪う方向に、ますます傾斜して行っているように感じます。
今こそ、「働き甲斐改革」と呼べるような、働き方改革が待ったなしで必要だと痛感しています。