堺市立三国丘中学校

今日の一言 5月26日 二宮金次郎 経済改革と≪大学≫

公開日
2025/05/26
更新日
2025/05/26

校長雑感 一隅を照らす



先日、映画を見に行ってきました。映画の名前は「二宮金次郎」!昔は、どの小学校にも「薪を背負って、本を読む」銅像があった、あの二宮金次郎です。「貧しくても仕事をしながら勉強を続け、長じては二宮尊徳と名を改め偉くなりました。」と習いましたが、でも、何をした人かよく知りませんでした。私は、大人になって、内村鑑三の『代表的日本人』(西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮の五人)を読んで、本当のすばらしさを知りました。

【幼いころ】叔父の家で暮らすことを余儀なくされていた金次郎は、叔父から「油がもったいない!」という理由で読書ができませんでした。当時の夜間照明は油を燃やして部屋を明るくしていました。ならばと一生懸命働いて油を買い、読書を再開しますが、また叔父から「本を読ませるために養っているんじゃない」と、またもや読書を禁じられます。仕方なく、「家で使う薪を取りに行くときにだけ、読書をしよう」となります。これが、有名な二宮金次郎像に繋がるお話です。

【道徳と経済改革】二宮尊徳と呼ばれるようになった彼は、当時の封建社会の枠組みを覆すようなやり方で、荒廃した村々を復興しました。その数は600以上だと言われています。農民の身分から勉学の末に武士となり、貧しい農村に自ら出向き、一緒に農地を耕しながら改革をしていきます。土地の農民にとっては、一見成り上がり者のように見えたことでしょう。大きな反発をくらいます。憎しみにも似た感情を受けながら、尊徳は改革に取り組みますが、憎悪に対抗する感情は、それに似た怒りや苦しみや苛立ちとなり、心の平穏を失っていきます。そんな時に、自らのあるべき心の置き所、心がけに戻ることができたのが、道徳だったのです。少年のころ、薪を担いででも読み続けていた本は、四書五経の中の≪大学≫でした。四書とは、≪大学・中庸・老子・論語≫と呼ばれる中国の思想書です。≪大学≫はその中でも、初学者が最初に読む本だと言われています。その≪大学≫を通して、彼は立ち直り、経済改革を進めました。

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この映画は、二宮金次郎の生涯を描いていた名作です。学問とは何か?なぜ学ぶのか?何を学ぶのか?大きなヒントを与えてくる映画でした。もし、機会があれば是非ご覧いただきたいと思いました。