堺市立三国丘中学校

今日の一言 4月25日 走れメロス

公開日
2024/04/25
更新日
2024/04/26

校長雑感 一隅を照らす

30年ほど前、航空会社に勤めていた時代がありました。

当時住んでいたのはドイツ・フランクフルト。年に3回から4回、勤務先の航空会社の便を利用して東京に飛んでいました。

そのときは、音楽の道からサラリーマンに転身した時期で、わからないことだらけ。

自分がいろいろできないことを棚に上げ、つかみどころのない不安に、自分自身や人様に対して不信感を持つようになっていました。

*** *** ***

そんなころのお話です。久々の日本への出張。機内での楽しみの一つは、機内上映。
その日のフライトでの機内上映はアニメ版「走れメロス」でした。

不勉強な私は、その時まで太宰治の「走れメロス」を読んだことがありませんでした。

なんという物語でしょう。
「僕は、信じていいんだ!! 人を信じていいんだ!!」

大声で叫びたい衝動に駆られ、涙が止まりませんでした。

*** *** ***
走れメロス

人が人を信じることなど有り得ない。「人を信じる」と言う者を軽蔑する王様。そんな王様に憎しみをおぼえるメロス。しかし、王様の暗殺を企て失敗したメロスは処刑されることに。「結婚式を迎える妹に会い行かせてくれ、必ず宮殿に帰って来る。身代わりに親友を・・」と王様に懇願すると、王様は嘲笑しながらこう言った。
「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りを、きっと殺すぞ。ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ。」
メロスは、身代わりの親友を宮殿に残して、妹の待つ村へ出発するのですが・・・・
(結末はご存じの通りです。もしまだお読みでなければ是非!)

*** *** ***

以前、先輩の校長先生にこう言われました。
「騙されても、だまされても、それでも信じ続けるのが教育者」

信じること。それは、今でも私にとって挑戦です。簡単ではありません。