堺市立三国丘中学校

今日の一言 8月31日 嘘をついてはダメ?(4)ソフィーの世界

公開日
2023/08/31
更新日
2023/08/31

校長雑感 一隅を照らす

“ソフィーの世界”は、1991年にノルウェー・オスロで、1995年からは日本で出版され、ベストセラーになった本です。
ひょっとすると、保護者の方には学生時代にお読みになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この物語は、主人公のソフィーが自分のうちの郵便箱に不思議な手紙を見つけるところから始まります。その手紙には「あなたはだれ?」としか書いてない紙切れが同封されていました。次から次へと届く手紙にはいつもあまり学校では聞かれない質問が書いてありました。
「あなたはだれ?」
「世界はどこからきた?」「もしビッグバンから世の中がはじまるのなら、その前に無の世界があったのか?無から何かが生まれるなんて、ありえるのか?」

こんなふうにして不思議な長い長い「哲学講座」が始まります。

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カントの「道徳」についての考えも書かれています。
もちろん「仮言命法」「定言命法」についても・・・。

「すべての人間は何が正しくて何が正しくないか知っている、それは、そういうことを学んだからだけではなく、そういうことが生まれつき私たちの理性にそなわっているからだ。」

「善悪を区別する能力は、理性のほかのすべての性質と同じように生まれつきだ・・・(中略)普遍的な道徳の法則も理解できる。道徳法則は自然法則と同じように絶対正しい。『道徳律』は私たちの生活の基礎である。」

この『道徳律』をあらゆる状況に無条件にあてはめ、“命令”とするのが『定言命法』。
逆に、これこれのばあいにはこれこれのことをしなさい、という条件付きの“命令”が『仮言命法』です。『道徳律』の行動原理の中の位置づけが違います。

引用 「ソフィーの世界」ヨースタイン・ゴルデル著(NHK出版)

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価値観の多様化・・よく耳にする言葉ですが、「多様化」から巻き起こる「混乱」に翻弄されているような気がするのは私だけなのでしょうか?

(つづく)