堺市立三国丘中学校

今日の一言 1月の学校だよりから

公開日
2026/03/02
更新日
2026/03/02

校長雑感 一隅を照らす

だからこそ、幸せに!

新年あけましておめでとうございます!今年もこのお話から始めたいと思います。

* * *

二十数年前、ドイツ・デュッセルドルフの小さなオフィスで働いていました。一般業務に加え、現地スタッフの生活面のケアまで、現地で永く暮らしている私のような者の仕事でした。そんな時、女性スタッフが日本からやってきました。

 入居初日。賃貸物件の確認や細々した生活規則に始まり、電話や光熱費の契約、通勤の仕方など、ドイツ生活のあれこれを説明していきます。部屋の窓からは、この地方独特のどんよりとした曇り空、くすんだ色の街並みが見え、隣接する小学校からは子どもたちの声が、遠くかすかに聞こえてきます。聞いているのか・いないのか、彼女の少しだけ“遠い目”が気になりました。一息つこうと、故郷の話しになりました。彼女は「神戸」出身、あの震災を経験していたのです。

 「こんなに素晴らしい環境で仕事ができるんですね。何だか申し訳ないな・・」私は「申し訳ない」の意味がつかめず黙っていると、彼女は続けて言いました。「だって私は、幸せになってはいけないんです」「私の姉と祖母は、私の目の前で燃える家の下敷きになって・・・」ことばは途中で消えていきました。「幸せになってはいけない・・」なんとつらい想いをしていたことでしょうか。そう思った刹那、声が出てしまいました。「幸せになろうよ!」こんなことを言ってはいけなかったのかも知れません。でも私の想像力が追いていけるはずもありません。震災を、私は遥か遠くの国から話にしか聞いていなかったのです。

・・・

 それから、10数年後。大阪で再会しました。お酒の好きだった彼女が「今日は禁酒ですッ」とニコッとしました。結婚して子どもができたのです。彼女は「幸せ」になっていました。どれほどの想いを乗り越えたのでしょうか。彼女は周りの人たちから、たくさん助けられてきたそうです。素晴らしい出会いがあり、笑顔を取り戻し、新しい「命」を未来につないでいくことができたのです。

三国丘中学校は、主権者教育・防災教育を取り組んできました。「命」を大切にし、当たり前であることに感謝し、「今」を「幸せ」と感じることできる力も育んでいきたいと思います。校舎改築もいよいよ本格的に始まります。保護者の皆様・地域の皆様からの益々のご理解とご支援をいただきたく引き続きよろしくお願い申し上げます。