陸上部 大阪中体連陸上競技部機関誌「るぶげる」より
- 公開日
- 2025/04/20
- 更新日
- 2025/04/20
部活動
大阪中体連陸上競技部機関誌「るぶげる」に掲載されました本校の昨年度の活躍についての原稿について紹介させていただきます。
第49回大阪中学校陸上競技選手権大会 男子総合優勝
第78回 大阪中学校総合体育大会 男子総合優勝
(近畿中学校総合体育大会 男子総合の部 第3位)
堺市立金岡南中学校 部活動指導員 寒川公嗣
今年の4月より、再任用5年を終了し部活動指導員としてやっています。秋には、メインを転勤されて来た野村先生にバトンパスしています。昨年度までは、上山先生(現上野芝中)とともにやってきました。一緒に指導しながら、ここ3年間の指導で多かったのが、顧問の予想を超える記録が頻繁にでてきたことです。生徒たちの力には、今更ながら驚かされることを顧問同士でよく話しをしていました。
選手権・総体の総合優勝の原動力になったのが、リレー種目でした。本校の走りの練習は大西克広先生(現鹿児島県教員)の理論を基にして4年前より始めました。夏の大会で1位になり全国大会を目指すというのが目標で、理論に基づく動きのための補強と、全力で競って走ることをやってきました、結果がでるまで、出てからも試行錯誤でした。必要だと考える補強を優先的に、走るのも100mまでです。過去2年間、大阪総体の1年生リレーでは、決勝にも残りませんでしたが、練習を積み重ねて行くと、面白いように記録が上がって行きました。リレーに勝つには、①アベレージを上げることと②エース(100mで全中出場、10秒台)を擁することだと考えていました。アベレージを上げるポイントして、走りの指導の中で「股関節を使って走ろう」「もっと乗り込んで行こう」「もっと地面を押せるといいね」とよく言われますが、一部の選手は自然にできますが、ほとんどの選手はわかっていてもできません。いわゆる「持っている」人は肉付けをすることでどんどん速く走れます。「持っていない人」がいかに速く走れるかが、アベレージを上げることとなり、ポイントだと思います。ドリルは最初、時間がないのでやりませんでした。決して猛練習をしたわけではありません。本校は文科省のガイドライン通りで練習しています。土日のどちらかと水曜日がノークラブデーとなっています。地元には小学生陸上のクラブはありません。生徒数が900人を超えるマンモス学校ですが、グランドは広くなく、週に1回しかトラックが使用できません。朝練はやりますが、最終下校時刻が冬期は17:30,それ以外は18:00でしっかりと守っています。ただ、他のどのクラブより早く始め、早く終わります。練習メニューは、他校に行くことはほとんどなく、動画「走りの学校」「動作改善アカデミー」などを参考に、練習内容はシンプルに、短時間で終わることが出来るようにしています。また、金岡練習をともにやってきたスペシャリストの先生方の合同練習メニューを参考にしました。学校での基礎練習の中で、指導で一番重点をおいているのはアップと補強です。陸上競技に必要な身体づくり(股関節周りの筋肉が動くように関節の可動域を広げ、筋肉を強化して機能的に動く)です。メニューは作成しますが、強度や取り組み方は割と自主性に任せて伸び伸びと考えさせながらやらせています。専門練習は、スペシャリストの先生方のメニューを参考にしました。アップと補強は、6つのグループに分けてリーダーをつくり、指示をさせて、練習終わりは、ミーティングで振り返りをしました。半信半疑で試行錯誤の中で当初の部員たちは信じてよくついてきてくれました。うまいこと結果はついてきて2年前の選手権(現高2)は1位になり全中に出場しました。大阪総体では男女総合優勝しました。おもしろいことに結果がでると、生徒たちは、頑張ります。昨年度は、前年度結果がでたので練習内容を信じてストイックにやってくれて、たびたび、ケンカをするほど競い合い、3年生上位8人の100mの平均タイムが11秒80までアベレージが上がりました。筋肉大好きで筋肉名がよく会話に出てきました。しかし、選手権では負けてしまいました。複数の腰椎分離者がでて1日の試合で3本走れなかったことと②のエースがいなかったことが原因でした。さらに負傷をしにくい練習、レベルも上がり、タイムを上げないと勝てないということが課題となりました。そして今年度、補強と、目標とする走りの動きを結びづけるプロセスとしてドリルを導入しました。走りの目標は、「重心(仙骨の位置)移動」でした。具体的にはギャロップができることとギャロップの動きから走りに結びつけることでした。そして、それにたどりつけるようにいろいろな動きの段階法と分習法としてドリルを取り入れてやりました。春先までは、大阪で6番手前後で伸び悩みましたが、いきなりタイムが上がり(顧問が一番びっくり)、通信大会にも勝って全国を狙えるところまで来ました。個人は5人全国に出場しました。リレー4人の種目はさまざまで、110mH・100m・走高跳・走幅跳です。800mや砲丸投も全国出場しました。「重心(仙骨の位置)移動」が各種目に結び付いていることがわかりました。リレーメンバーは、月に1回、カイロに通い体調管理をしました。しかし、リレーは選手権では負けましたし、個人も近畿では通用しましたが、全中では力を発揮できませんでした。体調不良者とピーキングのミスでしたし、②のエースをつくれなかったこと。この3つは、顧問の力量不足でした。まだまだ、未熟でしたね。でも、これからは次の世代を担う人たちにまかせてサポートにまわっています。
最後に余談になりますが、学校のクラブ活動の地域移行が言われてから久しいですが、あまり進捗していなくて部活の先生に負担がかかっています。いろいろな地域クラブが出来ている中、堺市では、堺クリアAC(今まで取り組んでいた金岡の合同練習会を発展・展開・組織化させたもの)で活動しています。私もスタッフの一員としてお手伝いしています。顧問の負担が減るように練習時間は短くシンプルに、道具は必要ですが、工夫して安価なものを、会話をしながら生徒が考え主体的にできるメニュー(やり方)を模索していながら、広めて行きたいと活動しています。
今、生徒たちが自分に応じたスタイル(楽しむ・競技力アップ・試合に出たい・友達を作りたいなど)でクラブ活動ができるように、また、先生方がワーク・ライフ・インテグレーションを達成できることを願っています。
この原稿の執筆中に「令和12年に全国中体連がなくなる?」という情報が入ってきました。これからどうなるのでしょうか?